suger trap
前日に砂糖が少なくなっていたのを思い出して探しているところに、藤代がどこから持ってきたのか砂糖と共にやってきたのでみんなでプチ茶話会を始めたが、しばらくするとみんなが泣き始めた。
「...で、合ってますかね?」
「はい。」
「龍明君は飲んでなかったんですか?」
「!.....忘れてました。」
勢いよく教員用室に入ってきたのは、藤代だった。
ちょっぴり怠け者の彼は、珍しく本気を出して走ってきたのか盛大に息を切らして疲れきっている。
目の前に出された水を一気に飲み干して、藤代は少し落ち着いたようだ。
「あのね、ゆーちゃん。先に謝っておくと、ここにあった砂糖を強奪しました、スイマセン」
「あ、やっぱりアナタでしたか。灰次くん。でも謝ったから許してあげよう」
「うん、ありがとう。でね、奪っておいてなんだけど、あれのせいで大変な事になってるんですけど、一体アレは何?」
藤代の質問に、受け取った際聞き流していた山下の言葉を一生懸命思い出しながらことの経緯を説明した。
『あの、山下先生。これは一体...』
『小野先生、前に私と話していたじゃないですか、女の人は時々思いっきり泣きたくなる時があって、映画とかを独り寂しく観たりしちゃって、それで『誰もいないし、明日は休みだから今日は目が腫れちゃうくらい泣いてやる!』とかって全力で泣いたりするっていうの。』
『あ、はぁ...えっと、しましたかねぇ、そんな話...?』
『えぇ、多分しましたよ!それでね、あれから私は考えていたんですよ、女の人のよく分からない、その泣きたい欲求というものに応えるために。だって、映画を観て泣きたいと思っていても、テッパンの同じ映画を何回も観るっていうのも何だかアレでしょ、それにほら、お気に入りの映画が決まってない人なんかは、評判だけでレンタルDVD借りてきたけど、どうにも趣味じゃないとか、そんなんだったらガッカリじゃないですか。泣きたい気持ちが消化されなかったら、なんか時間だけ無駄にしちゃった気がするじゃないですか!』
『は、はぁ...?』
『あ、ごめんなさいね!ちょっと話が長くなっちゃたんだけど、そんな泣きたい時に飲むだけでいい全世界の女子のための御クスリ完成したから、あ、小野先生は女子じゃないけど特別ですよ!本当に特別なんですけど、私の創作意欲を刺激してくれちゃった小野チャンにもあげちゃいます!』
『小野チャン!?え、いや、僕は大丈...』
『遠慮しないでください!!これくらいしか...できませんから!感謝してるんですよ、ホント生徒たちに話したら、みんな欲しいって言ってくれて、でも先に小野先生に渡しておかないと、完成品なくなっちゃうでしょ、あ、大丈夫ですよ、好評なので量産し始めてるんです。あ!こんなこと話している間に、もう部活の時間ですね、すみません、引き止めちゃって。じゃ!』
『え、あ、ちょっと!山下先生、僕は別にっ!.....行っちゃった』